大正末期、花巻農学校の教室では、宮沢先生の講義”農耕の歴史”から始まる。
「大昔の農村は天国であった。」しかし、今の農村は、歴史の中で”何か”に狂わされている。諸君たちはこれを克服するために勉強し知恵を出し合い、暮らしを明るく変えなくてはならない、と説き、「その時私は『バナナン大将』という劇を作りました・・・・・・」、舞台は劇中劇へと。
時不明。場所マルトン原。砲弾にて破損せる穀倉の内、辛くも全滅を免かれ総員腹をすかしバナナン軍団が歌う飢餓陣営の歌。そこへ美味しそうな勲章を体いっぱい付けた大将が登場する。兵隊達は何とかしてその勲章を食べたい。そこで特務曹長の作戦で、みごと食する事に成功!
農学校の講堂では、いましがた飢餓陣営を演じ終わり、興奮している宮沢先生と生徒達、父兄。そこへ警察官がやってきて「軍隊を愚弄した!」と言い出した。歴史の渦に巻き込まれつつある農村に贈られた「バナナン大将」。農民芸術をもって農民になりきろうとした賢治。多才なる宮沢賢治のほんの一部分としても紹介しました。 |