えんえんと水をたたえる豊沢ダムのほとりに、いまでもひっそりとたたずむ豊沢平和塔―。これは、豊沢部落がダムの建設のために沈むとき、部落の人々が、ふるさとを去る断ち切れない気持ちと、愛郷心を込めて建てた物である。
高橋家の父親の伝造は、ぎりぎりまで引越しを延ばしているし、祖父の喜助は、まったく動くつもりがない。
最後の盆踊りの夜、酔って現れた滝次が「この土地にしがみつけ」と訴えるが、みんなには、取り合ってもらえない。時間は、容赦なく過ぎ、ついに、高橋家の打ち壊しの日が来た。
この劇中には、今でも踊られている「豊沢大念仏舞」と「豊沢田植踊り」が出演。また、十数年の間、あまり知られてなかった「豊沢湖エレジー」も、市内の合唱団により歌われた。 |