昭和20年10月。太田村大日野。村人達が、光太郎のために山小屋を作っていた。多くの村人は光太郎のことを知らなかった。
その後、東京から雑誌記者が通り掛かる。光太郎を取材に来たのだ。記者は光太郎を知らない村人にその素晴らしさを説く。
戦地から帰ってきた雅敏を祝いに村人が集まっている。
そこへ光太郎が登場する。酒宴の中にいた香月が、光太郎の詩に励まされて戦ってきたと言う。光太郎はその言葉を背にそのまま帰ろうとする。
瀬川の問いに光太郎は
「私は多くの若者を殺した人間です。」と答える。
光太郎が暮らし始めて6年目。香月と瀬川の祝言が行われている中、光太郎はお祝いとして、妻智恵子の切り絵を差し出す。その帰り道、光太郎は優しく光る蛍を見つけ、「蛍は死者からの便りを届ける使いなのです。」という。二人に切り絵を贈ったことを、亡くなった智恵子は喜んでいるのだと・・・。
昭和27年10月、リュックサックを背負って山小屋から出てくる光太郎。「必ず帰ってくる」と語り、・・・光太郎は、愛し続けた智恵子との思い出を像として残すために東京へと旅立った。
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