「イーハトーブは、何処にある?」−−−宮沢賢治の足跡を求めて花巻を訪れた大尉≠ニ鴉≠ヘ、土沢駅からSL銀河に乗り込んだものの、新花巻駅ではぐれてしまう。
合流場所を童話村と決め、それぞれで向かうその間、出会う人たちからは、宮沢賢治自身やその作品についての見解が述べられ、やがて大尉≠ニ鴉≠ヘ互いの関係すら見失い始めてしまう。
作中、姿を現しては消える外套の男≠ノいわく、「彼、あるいは彼女はいずれもそれぞれのイーハトーブを目指して歩みを進め、その進路がほんの一瞬交わった所に、このイビツで継ぎ接ぎで、不格好なお話が生まれたのです。
その関係は、鴉の大尉と砲手のように切ないかもしれないし、セロ弾きとカッコウのよう に気まずいかもしれない。オツベルと象のように利害関係しかないかもしれないし、土神と狐のようにそりが合わないかもしれない。
ペムペルとネリのように仲睦まじいかもしれないし、山猫と一郎のように目論見が合わないかもしれない。そして、デクノボーやクラムボンのように訳が分からないかもしれない。そんなお話です。」
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