湯口の法領に住む任佐ェ門は里長であり、妻の名は奈加、娘の名を有加。有加は美人なうえに働き者。ある日、近くの泉で若い男と出会った。山夷の安貞だ。その後、安貞と有加にしだいに恋が芽生えてきた。
新任の国司東様歓迎の宴が開かれた夜、有加は舞を披露した。その時、東様は有加に一目惚れ。これを知った隣の里長義五郎は、出世のため自分の娘阿弥を東様に取り持とうとするが、有加が目障り。だが良い事に、義五郎の息子家晴も有加が好きらしく、有加を結婚させれば阿弥と東様は結ばれると思い策を企てた。
邪心でつくられた家晴の恋。赴任の寂しさ故か東様の恋。有加と安貞の忍ぶ恋は、力によって踏みにじられ、企みを隠すために山蝦本族の白蛇の伝説を作り上げていった・・・・・。 |